大丈夫の答えは大丈夫?大丈夫以外の声のかけ方

体調が悪そうな相手に「大丈夫?」と聞くのはNG!だという意見をよく見かけます。気を使ってかけたはずの言葉なのに何故?と思う人もいるかもしれませんが、その理由と、そしてそれ以外に何と言ったらいいのか、大丈夫以外の声のかけ方にも注目します。
「大丈夫?」の答えは「大丈夫」でしかない
「体調が悪そうだから”大丈夫?”と聞いたのに・・・それはダメな聞き方って何故?」と思う方もいらっしゃると思います。「大丈夫?」と聞くのがダメ!とはいいませんが、「大丈夫?」の返答が「大丈夫」でしかない可能性は非常に高く、いろいろなサイトや意見を調べていても「気を使ってしまい大丈夫としかいえない」というのが多くの意見です。
想像してみると、すごく頭が痛かったとして、そこに「大丈夫?」と聞かれると、我慢できないほどでもないし、言っても治るわけじゃないし、心配かけさせたくない、大丈夫じゃないと答えて自分勝手に思われたくない・・・などの思考がぐるぐると頭の中を一瞬で巡って「うん、大丈夫、ありがとう」で終わるというわけです。
中には「ほっといてほしい」「この人にはそこまで踏み入られたくない」というパターンもあるでしょう。人間関係なので、言える人・言えない人がいて当然です。極端な言い方をすると「大丈夫です、だからこの件についてはこれ以上なにも言わないでください」という拒絶である場合も無きにしも非ずです。
すごく親しいわけでなければ、「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫じゃありません」とはなかなか言えないものです。
「大丈夫?」の聞き方でいい場合もある
たとえば、自分から体調不良を相談していた相手や、相手がどんな時に言葉を使うかを知り尽くしているような親しい間柄の場合だと「大丈夫?」でまったく問題ないときもあります。愚痴を言い合えるような心を許している友人ならば「大丈夫?」と聞かれて「それがさあ・・・」とスッと聞いてもらいやすいし、むしろ気づいてくれたんだ、と思うときもあります。
どんな言葉も関係次第、と言ってしまえば元も子もないと思われるかもしれませんが、気を使う相手からの「大丈夫?」の答えは「大丈夫です」でしかないと言えます。
大丈夫以外の声のかけ方
「大丈夫?」という言葉は便利ですが、便利なだけに「本当に心配してはいない」言葉だという認識もあるようです。ではどういう言葉が「大丈夫?」以外の声のかけ方として適切なのか知る必要があります。候補として次のような言葉があります。
・どうしたの?
・何かあった?
・困っていることない?
シチュエーションや対人関係の距離次第でかなり選択の幅はあると思いますが、この単語は「実は・・・」と言いやすいとよく言われています。正解はその人によって違うと思うので、1つを「これが正解!」ということはできません。シチュエーションを考えれば、別のバリエーションも考えられます。
・昨日寝れてる?
・先週調子悪いって言ってたけど、今日はどう?
・最近体調どんな感じ?
たいていの言葉は、真剣に相手のことを考えた言葉ならしっかり伝わるはずです。逆に「大丈夫?」以外の言葉を考えるのも面倒というのなら、本心はそんなに心配しているわけではない、というのも1つの可能性です。そっと見守るのもやさしさです。
体調が悪いときには余裕がない
なぜ「大丈夫?と聞くか聞かないかで悩むんだ!」という人もいると思います。ですが、「大丈夫?と聞かれても困る」という人もいます。人はそれぞれです。しかし1つ言えることは、体調が悪い人には“余裕がない”ということ。痛みでも、ふらつきでも、内臓の違和感でも、体の不調は数分で収まるものもありますが、半日や1日、継続的に抱えている人もいます。
そうなると、他者と向き合う前に、まず自分の抱える問題と常に向き合っていることになります。本人の否応なく、痛みがあればずっと体力と神経をそこに削がれ続けることになります。そんな状態ですから、極端な言い方をすれば”生きるのに必死”なわけで、他のことに割ける余力がないのです。
本人の性質が真面目なら、「体調が悪いと言って迷惑をかけられない」とか「体調は自分のことだから自分でなんとかしなきゃ」という価値観から、体と心は本当は助けてほしいかもしれないけれど、本人の中の常識が先だって「大丈夫?」には「大丈夫」でしか答えられず、言えないことにストレスを抱え・・・という悪循環にはまってしまうことも多いようです。
HSPなど過敏な人も
最近よく耳にする「HSP(Highly Sensitive Person)」「繊細さん」と呼ばれる人たちである可能性もあるかもしれません。HSP・繊細さんは、そうでない人たちにはおそらく想像できないほど、いろいろな情報を短時間に、一度に得ています。音、光、動くものなど、本人の無意識でも受け取る情報量が多いのです。気づいてしまう、ということは、多くの情報を無視できない、ということ。ちょっとした音や物の位置のズレ、そんなものからも意味や理由、人の感情を受け取ってしまうのがHSP・繊細さん。雑踏や人の多い場所など、処理する情報が多いときほど、余力が減るのは想像に難くないと思います。
その他にも、HSP・繊細さんは、他人の微妙な変化に気が付く”察する”能力が高い人も多く、そうでない”察せられない”という感覚がわからないことも考えられます。「なぜそんなことも気づかないの?」と思いがちですが、当の本人はそういう些細なことに気が付くからこそ、それが当たり前の感覚しかわからない可能性もあります。HSP・繊細さんであることは非常に素晴らしいことですが、その力が負の方向にはたらいたとしたら「大丈夫?」と聞かれて「そんなことは見てわかるじゃないか」と思うこともあり得ます。
実際「大丈夫?」に「大丈夫じゃない」と答えられたら
「大丈夫?」と質問を投げかけた人が、もし「大丈夫じゃない」と答えられたら、どうするのでしょうか。「大丈夫?の答えは大丈夫でしかない」と言った友人の言葉を受けて「確かにもっともだ」と思ってから、実験的に「大丈夫じゃない」「体調が悪い」など、あえて言うようにして、他人の反応を伺ってみました。
しかし、まず「大丈夫」としか答えられない人にとって、「大丈夫じゃない」というSOSの言葉を出すこと自体、非常に勇気や気力が要ります。こんなことを言ったら嫌われるのではないか、と。そうまでして「大丈夫じゃない」と言って「ああ自分は大丈夫じゃないんだ」と言霊を受けるより、一口で「大丈夫」と言ってこの会話を終わりにしてしまいたい気持ちになります。
そして大丈夫じゃないと言った先に、本当に助けてもらえるかどうかが、微妙なところです。
たとえば仕事を休ませてもらえるとか、役割が減るとか、そういう大きな助けはなかなか得られないことの方が多いような気がします。周囲の人柄にもよりますが、少し手伝ってもらえるとか、気を使ってもらえるとか、ちいさい手助けは差し伸べられることがあり、人のやさしさを実感できます。
「大丈夫じゃない」と言うことによって自分を情けなく感じたりすることもなくはないので、人によってやはり良し悪しなのかと思います。
席を譲る言葉は
別のシチュエーションでも悩むことは耳にします。電車で「どうぞ」と席を譲ると「そんなに年寄りじゃない」と怒られてしまった、などの例もよく聞きます。他人の感情にそこまで責任を持つ必要もありませんが、怒られたりすれば気落ちはします。せっかくの気持ち、席を交代する心は大事ですから、どういう表現が適切か考えておくことも大事です。
考えてみれば「どうぞ」も真意は「座って」と同義語ですから、ある意味では命令調というか、勧められる側の意思は無視、と捉えられなくもないかもしれません。それなら例えば最初の「お席いかがですか?」と聞いて様子を伺うのも一案です。返答次第で、本当に座る気がないのか、実は座りたいけど遠慮しているのか、ワンクッション入れてみるという方法です。
実際にやってみているのですが、これが多くの人にとって正解かどうかはまだわかりません。とりあえず会話の入りとしてはやわらかくなります。
言葉は感覚の距離を埋めるために
中には「大丈夫?と心配したのに!」と機嫌を損ねる人もいますが、それは他人のためを装って、自分のために言葉を使っている可能性もあります。むしろその人自身に、何か心配してほしいことがあるのかもしれません。
大丈夫?と聞きたくなる相手には、最初に”会話の全権を渡す”のが1つ正解ではないでしょうか。大丈夫?と聞きたくなる相手は、相当参っているはずです。何とでも答えられる言葉を最初に置くことで、「実はね・・・」とぽつぽつ話しやすくなるもの。それが多くの人にとって「どうしたの?」「何かあった?」という言葉なのではないでしょうか。
そもそも大丈夫かどうか伺われたくない、そこまで踏み込まれたくない関係性というパターンもありますが、その時は何も言わずにそっとしておくのがベストだと思います。
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